原作未読。
中途半端に読んで挑んでしまいました。だって…知力3の私に対して、円城塔さんの作品はそりゃ偉大で、読み進めるたびに私の理解力が情けないものだと痛感する。
挑んでは返り討ちにされる有様。
この屍者の帝国は伊藤計劃さんが30ページほど書き亡くなってしまい、盟友の円城塔さんが引き継ぎ書き上げた作品です。
伊藤プロジェクトという、伊藤さんの全作品三本を映画化し、その作品の面白さを映像で表現するいった前代未聞の計劃でノイタミナさんってすごい博打したな~
私個人は虐殺器官が見れたら良いかな~と思っていたぐらいで、ビジュアルで映し出される世界に興味があるといったのんきな具合で構えていたんですが…
残念なことに制作会社が破産してしまい公開延期という…世知辛い現実に直面してしまいました。
やはりお金、この世の理はお金でできてる。知ってた。
虐殺器官のために開けたスケジュールを詰め、きっと屍者の帝国の動員数がよければ虐殺器官もどこかの制作会社が手を挙げてくれるかも知れない。(※これを書いていた時点では新しいプロダクションは設立されていなかった)そんな淡い気持ちを抱きながら最初の映像化作品「屍者の帝国」を見て興行収入に貢献しようと思った次第です。
いやー思っていたより面白かった!(いつもこれだな)
特に男性同士の恋愛がお好きな人にオススメしたいボーイズラブ感たっぷりの作品となってました。
その理由をつらつらを書き連ねてみようかと思います。
当然ネタバレあります。
死者に疑似霊素をインストールし、屍者として労働力を確保するといった死者蘇生技術が発達した世界。死んでもなお労力としてこき使われる、労力ならまだしも戦力といった使い方もする。もはや屍者には人権がない物質として扱われる雑さ。そんな世界が舞台です。
とっつきにくい世界観だけど、これがまたアニメーションとすると不思議とすんなり馴染んでいるんだよね。実写なら青白い顔の人間が動き回っているさまは、ホラーと勘違いされそうな作品ができそうなのですが、アニメーションにしたことでその恐怖が薄らいでいく感しました。
主人公ワトソンは病死してしまった友人フライデーの魂を戻すために色々と画策し、大きな事件に巻き込まれていきます。
この設定だけでも尋常じゃない友人関係を匂わせてます。
前半はヴィクターの手記という、話せる屍者の生成の資料を求める旅。
後半は…微妙な展開ですがラストが唖然とさせます。
世界はワトソンとフライデーの二人の存在のみ、彼らだけで構築されているセカイ系や頽廃ゴシックで病んでる二人が好きならもうね、胸を張っておすすめしたい。
ふたりの愛憎まみれた物語がそこにあったよね、ありがとう、思いがけずに究極の愛を見たわ…私はBLでもGLでも美味しければ食らいつくタイプなので、そういうのを期待せずとして見に行ったんだけどさ、
まーワトソンがね、フライデーに対して魂の定着させようとする姿が友情以上のものを炸裂させる言動でさ、キャッチフレーズからしてね「求めたのは、21グラムの魂と君の言葉」ですからね。察してください。
物語の面白さとしては、前半は優秀でアクションありの、話せる屍者の生成技術がわかり物語が謎という渦を巻いていく感じがしてワクワクしていたのですが、
後半の展開は首をかしげることも多く、説明不足の点もあり前半のような話の濃密さが薄まった感じがします。
後半のワトソンが持ち出したヴィクターの手記がザ・ワンという屍者がが盗み、屍者を使い暴動を起こします。話が大きくなってきたのでここからどう収拾つけるのかと思っていたら…
Mやザ・ワンの動機が花嫁?ハダリーという美麗な機械人形が登場し、唐突に心が欲しいと告げたり屍者を声ひとつで支配したりとワンダーランドに突入し、果ては魂の入れ替えファンタジーが始まり、謎の物質がかたまり氷的柱が出まくって??それは一体何?と中盤の説明不足のせいでクライマックスは疑問点噴出して正直いまいちのめりこめなかったです。
一部ではギルティクラウンっぽいと呼ばれ、参考までに見てみたら、あーうん、描写似てるなあって。
パンフ読むと後半のシナリオを練る時間がなかったようで、時間があったら素晴らしい展開になっていたのだろうなあと。これ残念だよね。アニメの世界は脚本ができる前から見切り発車するのかな?
シナリオだけは時間をかけてほしいところだけど、そういったゆとりある事情にはならないのだろう。