炭酸メトロノーム

映画やドラマの感想を気の向くままに自由に書き連ねてます/ネタバレアリ

ドラマ「ハンニバル シーズン2」

R15

 

すさまじい最後を見た。

見終わったあとは衝撃のあまり、え?あ??と言葉にならない片言の日本語しか発声できなかったわね…

※ネタバレあります

 

 

 

 

 

第一話の冒頭がレクター博士とクロフォードのガチバトルに胸躍らせる始まりで、

最終話はどのように収束させるのか楽しみになり、見終わった今はS1よりS2の方が自分好み。S2は前のめりになって見てしまいました。

 

前半はウィルが冤罪を晴らし、どのように精神病棟から脱出できるのか。

 

後半はレクター博士と戦うために、ウィルは餌を撒き、狸の化かしあいに突入…と

いった具合に話のパートが分かれていて、二人の見えない糸によってこちらがわがなぜか心理的に削られていくような感覚を味わった。絶えず緊張感があり、見るものを飽きさせない。

 

S1はウィルの完全負け試合で終わってしまいましたが、S2は互角に戦える成長したウィルが頼もしかった。けれども少しずつじりじり追い詰めるが、思わぬところで邪魔と一枚上手なレクター博士の技が冴えわたる。ああもう少しといった展開で何度も頭を抱えてしまうこともしばしば。

 

映画「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」を見た方ならニヤリとする配役もあった。

チルトン博士は羊たち~の終盤では生きていたが、ドラマの場合は映画と違い、今作は退場してしまう。私はチルトンがかなり嫌いだったけれど、レクター博士に巧みに利用されたことにより、あの彼の結末には同情の念が抱いた。気が付いたら切り裂き魔の身代わりにされてしまうなんてね。ほんと…可哀想に…まあ接触したせいなんですが…

昨日一緒に食事を共にした相手ですら、利用するものは徹底的に利用し、良心の呵責も感じられない、微塵にも躊躇しないまま仕事を終えるレクター博士の狂気。しかも留まることはない。

 

忘れてはならないのは大富豪メイスン。映画では悲惨な顔で体も麻痺し、一人では動けない状態体が不自由なものでしたが、ドラマでは元気で生き生きとしており、周囲に対しては嫌悪感たっぷり振りまく屑野郎でしたね。妹マーゴに対して屈折した愛情で迫る辺りはもう寒気がするわ…

 

まーとにかく、最終話の衝撃が強すぎて、各話のインパクトに残っていたところが弾けて飛んでしまった。とにかくあの最終話を用意するためだけに、各話に見事伏線を練りあげたのは素晴らしいとさえ思った。怒涛の展開というのはこのことだろう、濁流にのみ込まれた気持ちだよ。

 

レクター博士は結局レクター博士で、結局はひとの皮を被った狡猾な獣だった。

そんな獣でも一点の曇りもない友情を求め、ウィルとの絆を育んでいく。ウィルが罠としてだが、こちらがわの人間なのだと手の内を見せると、レクター博士は本性を垣間見せるようになる。

ウィル以外の犠牲を厭わないようになり、メイスンを共通の敵と認識したり、アラーナとは寝ないようになる(タイミングよくアラーナが身を引いたこともあるが)

 

だが、ウィルは一つ失態を犯し、レクター博士は彼の真意を知る。新生活まで考えていた博士の落胆は言葉にして表せないだろう。

 

ラスト10分弱は最高の盛り上がりを見せる。

置いてはいけないと、慈しむようにウィルの頭を撫でた後、腹部を一気に突き刺した後、レクター博士は感情を高ぶらせる。

 

「私は自分を見せた、君にね…贈り物したんだ、だが君は拒んだ」

 

時々『孤独』というキーワードが出現するが、やはり博士は孤独だったのだろうか。

レクター博士の狂気に寄り添える初めての相手としてウィルがいた。生まれて初めて自分の予想だにしていない知性の持ち主、蹴落とされても這い上がり、博士と対極に位置する男、それがウィル。

たんに気まぐれで動いていたのに、正面切って突き進んでいくウィルと接していくうちに孤独でなくなる瞬間を得ることでレクター博士は変わったのだ。

 

拒んだ代償として生かしていたアビゲイルの喉を掻き切るさまはS1の第1話のラストが重なる。第1話で命を救った彼女をその手で息の根を止める。 

流した涙を雨で流す。

報復を下し、ウィルのコートを纏いながら雨に打たれ闇夜に姿を消す。

 

もうね、完璧。

映像美と荘厳な音楽、どちらも引けを取らないし、綺麗に合わさっている。

セリフもダラダラ喋らない。必要な言葉だけ、選んで話す。あとは映像の雰囲気から読み取るしか他はない。それでいい。全部心情を吐露することはない。そこに痺れるー!

 物語としては後味悪ゥ!なんですけれど、そんな感想は無粋だね。

 

窮地に立たされたレクター博士のその後というと、皮肉にも逃亡成功し、飛行機に搭乗し座席はビジネスクラスで優雅にシャンパンを飲む、傍らにはモーリア博士が…内通してたのね…

ということが、さらに後味どころか、してやられたり…またしても完膚なきまでの負け試合を味わいました。泥試合に持ち込めただけでもいいのかな…いや屍累々だもんね…

 

 

面白かったけれど、難点としては…やっぱりグロ過多!!

物語がよいだけにグロテスクなシーンが多く、一話目と二話目は目を背けてしまいました。

作り物とはいえ、S2はリアルな感触が感じられる演出があるせいで、自分の身じゃないのにさ、まるで自分の身に起こっているかのような錯覚させられて思わず痛さからぎょぎょぎょー!とさかなくんみたいな叫び声出しちゃったわよw

このグロさ加減が少なかったら周囲にも勧めやすいのですが…描写のせいでお好きな人には堪らないといった、今回も見る人を選んでしまう仕様になってしまいましたね。もうここまで来たらついてこれる奴だけ来いよ!的な作りを期待するしかない。

 

S3では元気なウィルを拝めますように!

次回で終了とのことで、もっと二人の物語を拝みたかったね。アメリカでは人気なかったのかね…