炭酸メトロノーム

映画やドラマの感想を気の向くままに自由に書き連ねてます/ネタバレアリ

映画「神様の言うとおり」

※ネタバレあります

映画はR15指定ですので、それなりの表現もあります。耐性ない方はご注意くだされ。
原作既読済み。

 

 



えっとね!ヒロインとサイコホモが主人公を取り合う話だったよ!
それでね最後は瞬と天谷がアダムとイブになって皆から祝福されたよ!
なんだか『神木様の言うとおり』だったよ!


って、ほぼ事実なんですけど、これでは身も蓋もない感想すぎて、
私個人の印象が悪く思われそうなので頑張って真面目に書きます。

ああっ神さま、僕の退屈を、返して下さい…という台詞を象徴するかのように、 
平穏で退屈な日常を送っていた主人公高畑瞬(福士蒼汰)含む世界中の高校生たちが
ある日のこと、前触れもなく、突然己の生死をかけたゲームに巻き込まれるといった不条理極まりないサバイバルシチュエーションホラーの物語。
不条理な世界観によって思春期真っ盛りな生徒同士が殺し合う凄惨な話はバトルロイヤルの系統だけれども、
この神様の言うとおりは無理難題な状況からささやかなヒントを読み取りゲームをクリアしていかなきゃいけない代物。もう死亡遊戯も真っ青(嘘)もう課せられるゲームがハードモード、無茶ぶりもいいところ!で、そりゃもう皆さんクリアできずに屍の山を築いちゃっています。

序盤のダルマは、誰もが昔遊んだだるまさん転んだを始めるのですが、僅かに動いても喋ってもアウトー!となり、即座に首をふっ飛ばしちゃう有り様なんだけど、ここは首が飛ばない代わりに赤いビー玉が飛ぶことに。絶叫の後に赤いビー玉がざあんと飛び散る光景はあれちょっと綺麗かなと思っちゃう不思議トリック。ですが、相反するかのように教室には首ちょんぱな死体でぐっちゃぐちゃです。
きっと、ここで出血大サービスみたいなことをすると序盤なのに血液グロでお腹いっぱいになっちゃうだろという配慮かな。この時点でアウトなら中盤ちょっとキツイと思います。
個人的にこけしでアウトになった男の子と女の子の死に方がエグいです。ここまでせんでもいいのにと、三池監督の悪趣味に若干引く。そりゃR15指定食らうのも無理ないなーと思いました!

そんな死のサバイバルゲームを主人公瞬とその幼なじみの秋元いちか(山崎紘菜)と共に切り抜けるのですが、
途中から参戦する天谷武(神木隆之介)のシリアルサイコキラー登場。生死をかけたゲームを楽しみ異常な状況でも冷静に観察し、時には仲間すら手駒にし犠牲をも厭わない天谷という存在が、この映画のエッセンスな立ち位置です。突然訪れた非日常を楽しみ、
瞬にお前もこんな異常な状況にゾクゾクしちゃうだろ?クソな日常から脱却して嬉しいんだろ?的なこちら側の人間だろうとそそのかします。
しかし最後のゲームでいちかの説得で瞬が引き戻します。やはりここはヒロインの絆パワー流石です。

ただ、最後のゲーム終了後のラストはそれアリ?アリなの?とツッコミたくなりまして、ある意味俺達の戦いはこれからだ!みたいな。特にリリー・フランキー大森南朋の無駄使い、映画しか見ていなかったら彼ら一体何者?と疑問が残るだろうよ…
始まりが不条理なんで起承転結なんて求めちゃいけない、そういうことなんだと自分に納得させました。

残念なところは瞬の心境が原作と一番大きくずれてしまった箇所かな。凡庸な主人公になってしまった。ゲームによって闘争本能が磨かれていく変わりざる負えない彼が見たかったなあと。
福士蒼汰の垣間見せた闘争本能むき出しの顔、素敵だったよ。もっとそんな彼が見たかった。(ただしネズミの着ぐるみを着用していたギャップで笑いを誘いますけれど。)

謎は謎のまま、深く考えず頭空っぽにしてみるのがよいかもーという映画でした。